離婚後の親権が気になる方へ 親権者の決定に際して考えるべきポイント
2024/05/14
離婚に際しての親権問題は、全ての子を愛する親にとって頭を悩ませるものです。しかし、親権について考えることは、子の利益に繋がります。そして、うまく対処しなければ概して子供たちの不幸を招く可能性があります。本記事では、親権問題に揺らいでいる方々が、少しでも離婚問題に巻き込まれた子供たちの幸せを守る方法について有益な情報を提供します。
目次
親権とは何なのか?
「親権」とは,子どもの利益のために,監護・教育を行ったり,子の財産を管理したりする権限であり義務です。父母の婚姻中は父母の双方が親権者であり,父母が共同して親権を行使します。父母が離婚をする場合には,父母のうち一方を親権者と定める必要があり,離婚後は,その者が親権を行使することとなります。
親権者はどのように決まるのか?
親権者は,協議ができる場合にはまずは父母の協議によって定めます。子どもの監護・教育に関する事項(進学,医療等)や,財産に関する事項について,父母のどちらが決定するのが子どもの利益となるのかという観点から,しっかりと話し合う必要があります。
協議によって定めることができない場合や,協議をすることができない場合には,協議離婚をすることができませんので,家庭裁判所における調停や裁判によって離婚することとなり,親権者も,その手続の中で定められることとなります。そして、以下の点が親権の判断の際には重要になります。
①監護実績
夫婦が同居していた期間及び別居していた期間を通して、主に子の監護を担ってきた者・子供と同じ時間を過ごしてきた者が、引き続き子の監護を担うべきと考えられています。そうしたことから、夫婦が別居している親の場合、現在子の監護を担っている親のほうが、親権獲得には有利に働くでしょう。
②今後の監護計画
離婚後の監護を具体的にどのように計画できているかは、離婚の判断にあたり裁判所が重要視するポイントです。ご自身の父母や兄弟が協力的であるか、特に幼少期の子供の場合には、保育所に入所できる準備があるか等、監護に協力してくれる人や環境の有無も考慮される傾向にあります。また、監護者の心身の健康も、今後子どもの監護がおこなえるのか否かについて見られるポイントですから、ご自身の健康もしっかり管理するようにしましょう。
③経済状況の安定
学費や生活費など、養育には安定した収入がつきものですから、経済力も考慮要素となり得ます。もっとも、養育費及び実家の補助や公的扶助により生活費を賄えることができる場合はさほど気にする必要がありませんし、専業主婦/主夫であった方でも親権は認められています。
④子どもの意思
子供の望まない監護者により監護されることは、時として子の健全な発育に障害を与えることがありますから、子供の意思は親権者の決定に際して重要であると考えられています。また、子どもの年齢が15歳以上の場合、審判・訴訟時に子どもの意見聴取が必ず行われますから、(家事事件手続法169条2項、人事訴訟法32条4項)、子の意思は強く尊重されます。
⑤離婚前後の環境の変化
離婚により、今までと地理的に全く違う環境に子が移動しなければならない場合、自然環境のみならず友達などの人間関係に大きな変化が生じることになります。子の発育においてそのような変化は悪影響を与える場合もありますから、環境の変化に変更がないことが望ましいとされています。
調停や訴訟になった場合に気をつけるべきこと
協議により親権者が定まらなかった場合、調停や訴訟により親権者を定めなければなりません。その際には家庭裁判所調査官や調停委員に話をする必要がありますが、感情的になってはいけません。
調停委員も調査官も直接当事者双方から話を聴区ことになります。今までの経緯からして相手方の主張が到底許せない場合もあるとは思いますが、親権判断にあたり自己に有利になる事実について整理して伝える必要があります。また、相手方の主張に対しても感情的な反論を行わないようにしましょう。
あなたが子を実際に監護養育してきた実績があれば、自信を持ってこれを冷静に主張しましょう。父母の協力が得れるなら、その様子をアピールしましょう。あなたが専業主婦/主夫であったなら、就労に向けて努力をしていることも伝えましょう。
また、子供に対してネグレクトやDVがあった場合を除いて、相手方との面会交流にもできるだけ協力するようにしましょう。父母双方による子どもへの関与が子の人格形成に重要であると裁判所においては考えられています。
弁護士に依頼することによるメリット
親権問題は既に述べた点以外にも考慮するべきことが多くあり、また、不慮の事態も生じやすい法的紛争です。また、他人事であれば冷静な判断ができていても、相手方の主張を直接受ける当事者となると冷静に対処するのは難しいのが世の常といえます。
弁護士に依頼した場合は、事前に親権獲得の見通しについて助言を受けられますし、書類の作成や証拠の収集等の手間がかかる手続きについて任せることができます。また、子の連れ去りやストーカー等の不慮の事態に対しても毅然とした法的対処を行うことができます。
このように、親権問題に関しては、弁護士に任せることによるメリットが多いため、親権問題で揉めている場合や揉めることが予想される場合は、できるだけ早期に弁護士に依頼することをおすすめします。